<序論>
現在、グラフィックソフトウェアを利用し、自由かつ容易にイメージを作り出せる時代になっている。しかし、現在もなお、文字を主体としたポスターが多いのは確かである。また、時間の流れにより、文字の様々な表現を開発させ、文字の持つ可能性を広めてきた。それにより生まれたタイポグラフィックポスターは、文字に意味を適切に込めて表現をすることで、文字は情報でありながら、伝達効率を向上させる装置として働く。本研究では、タイポグラフィックポスター着目し、文字がどのように表現されたのかについて表現方法と表す内容との観点から調査・分析する。そして、文字の表現方法を系通化し、それぞれの「表現の元」となる表現を探し、モダンタイポグラフィの始まりである「1910年前後から現在」にいたるまで、各々の表現の変遷を分析し、文字の表現可能性について考察する。
また、文字やテキストだけで表現するタイポグラフィックポスターの可能性について深究し、現在のタイポグラフィックポスターにおける表現や、新しく出来た表現は何なのかを探る。そして、現在のポスター表現における問題点を抽出することも目的とする。
<結論>
モダンタイポグラフィの実験を通して新しい表現が誕生し、またそれがポスターに、タイポグラフィに適用され、次第に定着していくことを見た。また、注目性を高めるために使用された表現が、徐々に新しい意味を持ち、発展されて行くことも確認できた。そして、様々な表現が結合してテーマをより効果的に表現する場合も多数あった。これらの表現は相互補完し、新たな表現の発見にも影響を及ぼした。
68つの分類を通し、文字の表現には限界がないことを、また21世紀の作品からは新しい表現のための努力も確認することができた。さらに、それぞれの表現のカテゴリを見ると、同じ表現の内でも、全て異なる意味とテーマを持ったポスターであることを確認することで、文字が持つ可能性を確認することができた。
また、現在の作品を選定する際、作品の表現方法と主題との関連性が低く、単にスタイルだけを追った作品がたくさんあり、選定に困難を経験した。このような問題点を補完しながら新しい表現への進歩が現在のタイポグラフィックポスターが進むべき道であると考える。
1 序論
1.1 背景
1.2 タイポグラフィックポスター
1.3 1910年前後から現在
1.4 目的
1.5 研究方法
1.6 研究の流れ
本論
2 文字表現の分類
2.1 年表 1450年代から現在タイポグラフィの歴史及び欧文書体を調査(別添)
2.2 ポスターの選別基準
2.3 文字表現の抽出
2.4 文字表現のカテゴリ分類結果
2.4.1 Imagery
2.4.2 Spatiality
2.4.3 Grid
2.4.4 Control
2.4.5 Put text
2.4.6 Cut & Erase
2.4.7 Repetition
2.4.8 Overlapping
2.4.9 Color
2.4.10 Element
2.4.11 Texture
2.4.12 Handwriting
2.5 年表 モダンタイポグラフィ時代から現在までの分類結果(別添)
3 カテゴリ別表現の始発と変遷、そして表現の特徴の分析
3.1 カテゴリのグルーピング
3.2.1 Imagery 1 - type
3.2.2 Imagery 2 - text
3.2.3 Imagery 3 - paragraphs
3.2.4 Imagery 4 - repeated
3.2.5 Imagery 5 - architectural
3.2.6 Spatiality 1 - three-dimensional type
3.2.7 Spatiality 2/3/4 - scaling/layers/coloring
3.2.8 Spatiality 5 - perspective
3.2.9 Spatiality 6/7 - curved/distorted
3.2.10 Grid 1 - different line starting
3.2.11 Grid 2 - grid
3.2.12 Grid 3 - diagonal
3.2.13 Grid 4 - rotate
3.2.14 Grid 5 - staircase
3.2.15 Grid 6 - vertical writing
3.2.16 Grid 7 - cropping
3.2.17 Control 1/2 - separated/spacing
3.2.18 Control 3 - condensed expanded
3.2.19 Control 4 - related
3.2.20 Control 5/6 - reversed upended / break away from lines
3.2.21 Control 7/8/9 - various type and size / mixed / puzzle
3.2.22 Put text 1/2/3 - into counter, eye, open counter / paragraph into Letter / letter into letter
3.2.23 Cut 1/2/3 - standard / sliced / tear
3.2.24 Erase 1/2/3/4/5 - standard / mask / pattern / counter /truncated
3.2.25 Repetition 1/2 - standard / scaling
3.2.26 Repetition 3/4 - reflected, reversed / geometric pattern
3.2.27 Repetition 5/6 - superposition / letters
3.2.28 Overlapping 1/2/3 - spacing / transparency / point
3.2.29 Overlapping 4/5 - top layer / overprint
3.2.30 Color 1/2/3/4/5 - filled with color / saturation, brightness / gradation / shift / various coloring
3.2.31 Element 1/2 -negative positive / text block
3.2.32 Element 3/4/5 - graphic element / border /underline
3.2.33 Texture 1/2 - wooden type / contrast
3.2.34 Texture 3 - blur
3.2.35 Texture 4/5 - stencil, airbrush / stencil type
3.2.36 Handwriting 1/2/3 - typeface/standard/background
4 結論
4.1 文字表現のカテゴリー化と、その変遷から見る文字表現の可能性
4.2 文字だけで表現する特性
4.3 表現と良いデザインの関係
4.4 現在における文字表現の問題点
4.5 今後の研究1-タイポグラフィックポスターの製作実験
4.6 今後の研究2-和文、ハングルでの文字の表現研究
5 参考・引用文献
キム ジヘ