一等級の恒星たちが家路につく
宝珠戸 祥穂 油絵学科[油絵専攻]
平面/板、油絵具、油彩/1620×6790
分厚い本の中に、たくさんの物語がある短編小説のように、絵の物語をたくさん創りたい。
担当教員:水上 泰財
パネル7枚に描かれた6メートル以上の長さを持つ巨大な横長作品は、その一枚一枚を切り離しても絵になるよう構成したと、作者は言う。実際、遠くで俯瞰するより、学校の狭い廊下のような所で、歩きながらこの青春?の一日を追ったほうが、臨場感を持って伝わるだろう。それにしても、この荒涼とした風景に覚える親近感はなんなのだろう。学生服の男女は星座の形を基にしたと言うが、言葉から連想するような夢や希望といったものにはほど遠く、どちらかと言えば、青春の蹉跌といったところだろう。しかしながら軽やかに処理された、男女のデフォルメやユニークな行為のせいかフッと笑いたくなるようなアイロニーの濃い作品となっている。