巴
おわしませり
無題
宮入 文香 油絵学科[油絵専攻]
【巴】平面/パネル、綿布、油絵具/油彩/2334×3226
【おわしませり】立体/綿布、糸、綿、枝、針金/300×470×250
【無題】平面(半立体)/パネル、綿布、油絵具、布、木、蝶番/1350×300(開放時:356×600)
相反する感情を同時に抱くときに生まれる空白感や自己嫌悪から脱するための諦観について。 それでも綺麗だと思うものは綺麗で、理想と嫌悪は蟠る。 フラッシュ。
担当教員:遠藤 彰子
彼女は、「生死観」というものをテーマに、様々な表現で自身の可能性を探ってきた。立体作品である「おわしませり」は、日本固有の生死観というものに対して、ニヒリズム的な視点を加味することによって、現代社会の死の捉え方を可視化させることに成功している。シニカルな視点と死の尊厳を行き来するような不思議な感覚を覚えた。
絵画作品は、生と死の間にある異次元の断層に入り込んでしまったかのような、幻想と静寂感に包まれた森に住まうモノたちを描いている。現実のすぐ隣にある幻想世界の怖ろしさと温もりは、彼女の「生死観」をもって、内的な世界観にリアリティを与えているように感じられた。予感や物語を連想させ、想像力を掻き立てられられるような文学的な雰囲気が感じられる佳作である。