空腹の旅
河内 遥 油絵学科[版画専攻]
人は、生まれた時から少しづつ姿を変化させ、周りの環境から たくさんの物を身にまとう。 時には それが異物であり、他人から受け入れられないものもあるが それを自分だけの才能や個性と考えてみてはどうだろうか。 少しずつ奇妙になっていく姿をみても、満足できず空腹な感情を抱えたまま旅をつづけていく。
担当教員:遠藤 竜太
謎に満ちた絵である。
人が何かに変容しているのだが、どの姿を見ても不思議で飽きる事が無い。風刺画のようでもあるが、それだけに括れない想像力。あれこれ意味を探ろうとも、簡単には解読を許さない。
私が確かに解るのは、豊かなインクの表情があり、明澄な刷りであること。そして、それが今ではほとんど見ない石版画ならではの表現だということくらいだ。
しかし、この謎の多い河内の世界に強く惹かれる。解らない楽しさ。驚きと発見。心がザワザワする感覚。絵の魅力とは本来こういうものではないだろうか。そして、さらに言えば、未知の何かをひたむきに追い求める行為。まさに創造は「空腹の旅」なのである。