家屋Ⅰ 廃墟
家屋Ⅱ 増築
家屋Ⅲ 倉
家屋Ⅳ 密接
藤本 彩 彫刻学科
立体/セラミック、釉薬/紐づくり
何気ない風景を観察することにより、偶然と必然から出来たおもしろい形を発見することができる。
担当教員:伊藤 誠
大きな作品だけが大きな空間を支配するとは限らない。藤本の作品の特質はセラミックという素材と技術を起点としながらも、空間の質を確実に変化させているところにあるだろう。それを可能にしているのが作者の視点と身体感覚だ。まずこれはミニチュアサイズの住宅ではなく遠景の視点であること。そしてその視点と素材が出会う事によって得られる身体感覚。セラミックで作られた住宅群は古代の副葬品を想起させるかもしれない。これは時間を止める技術だ。ここで止まっている住宅群は機能主義の空間ではなく、ご都合主義で生まれてしまった隙間である。何百年後の視線を感じながら、この隙間をなぞるように内側と外側の境目に形を与えてゆく。この過程で獲得された身体感覚こそが、この空間が表出された起因だろう。つくることを通して初めて見えてくるものがある。