まち Ⅰ
森 明音 彫刻学科
平面/鉄/ガス溶接/2200×4300
街並みのような、地図のような、建物のような、そんな作品です。鉄と戯れるように作りました。
担当教員:戸谷 成雄
通常なんらかの物が作られる場合、その用途、形によって素材が選ばれる。大きな平面によって構成される近代建築には平たい鋼板は便利であるが、複雑な形体を要求する彫刻には不便な素材である。森は、そのつるつるした人工的な一枚の鉄板を不揃いで小さな鉄片に分断し複雑な立体物を作って来た。この場合小さな単位にすることは合理的である。しかしこの作品のように平面的、レリーフ的表現に取って必ずしも合理的とは云えない。ここでは目的と手段が逆転している。立体物をつくる手段が平面的、レリーフ的表現の目的となって作者を突き動かしている。鉄片を溶接する過程での熱による歪み、歪みを修整しょうとハンマーで叩くことによる別の歪み.気の遠くなるような不合理で理不尽な行為の果てに、一枚の鉄板の新しい姿が出現してくる。この場合イメージは重要ではない。