自然色採集
鈴木 陽香 視覚伝達デザイン学科
本/布、刺繍糸、紙、ボール紙/上製本/189×137×10他
人が識別できる色数はおよそ1千万色と言われています。 日本には色を表す言葉が沢山ありますが、そのほとんどは平安時代に生まれたものです。 もっと起源を辿っていくと古代日本では染料と顔料による色名を使用していたということに辿りつきます。 そこで自然の色そのものを染色によって定着させ、現在使用されている色名を使用せず、色名をひとつひとつ命名しなおしました。 日本人の根幹にある色に対する豊かな感覚を感じて下さい。
担当教員:寺山 祐策
鈴木さんは、顔料や染料ではなくて自然物そのものから抽出される色をテーマとした。同時に日本の伝統色の歴史的成り立ちを調べたが、それらの色名の根拠が一貫していないことも分かってきた。そこで彼女は自ら抽出した色にその元となった物の名前を命名した、これまでにない色見本帖の制作を試みた。その過程で得られた色データをマンセル色環に精緻に置き換えることで、結果として本来の自然色の全体像(分布状況)を見る事ができる仕組みとなっている。丁寧に編集された彼女の作品を通して私たちは「自然の色とは何か」について感じ、考えることができる。彼女の色彩採集がライフワークとして今後も続くことを期待したい。