Energy of vegetables 野菜の変容
住吉 あゆみ 視覚伝達デザイン学科
平面/本、紙、ダイアグラム/297×420
私たちにとってなじみ深い野菜、しかしそれらが今日のように日常の食卓に取り入れられるようになったのは20世紀になってからの出来事で、その歴史は意外にも浅い。 日本経済が大きく変動した100年は、野菜にどのような影響を及ぼしたのだろうか。私たちの食がどのように生まれ成り立っているのか、野菜とそれをとりまく環境の変化を調べて行くなかでの発見や、その変化によって切り離せないものとなったエネルギーと野菜の関係ダイアグラムを軸に視覚化した。
担当教員:寺山 祐策
住吉さんの作品は私たちが普段何気なく食べている野菜はいつどのように作られたかという一見シンプルな問いから始まっている。しかし彼女のダイヤグラムと編集は、何気ない日常のなかに地球規模の人間の歴史と政治と自然と環境の問題が凝縮している事を語っている。データは単体では意味をなさない。「変換」された時に意味となる。きっかけは昨年の未曾有の厄災であった。そこでは幾多の表層的なデザインの意義が語られた。自らの出身地が被災した彼女のこの作品は「デザインが為すべきことは何か」という問いへの誠実なひとつの答である。