武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

都市のスケッチ 

山本 悦子 視覚伝達デザイン学科

アニメーション/3min 

「現代社会の精神」 現在の人間の生き方、「社会」という集団生活のありようそれ自体が、たくさんの細胞から成り立つ多細胞生物に思える。 とくに経済、科学技術などの発展により機械化、システム化された日本では、まるで 人やものという赤血球が、道路や線路という血管によって 日々運ばれ、循環していくさまを思い起こさせる。 そういうひとつひとつの細胞たちが、この狭い日本で毎日泣いたり笑ったり無表情に通り過ぎたりする中での、目に見えない情感の呼応、 共感、無意識を、どうにかスケッチできないかという試みの作品です。

担当教員:三嶋 典東
きっとあなたは、笑いを禁じえない...でしょう。で、その笑いの質にこそ、作品の新しい挑戦が表れている。人類の夢と欲望で形作られてきた都市、そこは不安と恐怖を同時に大量生産してしまう矛盾の現場。作者がおぎゃ~!と生まれたその日その時ここの今は、既に巨大不安と巨大恐怖の巨大都市。生まれた時からの日常ともなれば、不安と恐怖も都市生活者の生命の一部だ。明るい恐怖と明るい不安が、鋭くしかし実に優しげに描かれる。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji