武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

我々はどこから来たのか 我々何者か
我々はどこへ行くのか 

坂爪 康太郎 工芸工業デザイン学科[陶磁]

立体/陶土/ロクロ成形/2000×4000×250 

仮面とは何ももたず、何も知らず、それでも生きるために信仰と創造が発展した時代の人々が生んだ「未知の恐怖、思いや願い、目には見えない力を具現化する」という能力を持った道具である。 目には見えないものを信じる力。存在しないものをつくりだす力。抗いようのない自然を征服してしまうのではなく、それと寄り添うようにして生きる力。それらが仮面を生んだ。 道具としての仮面の本来の用途が失われた現代で、わたしはこのような力を直感的に感じ取れる造形として仮面に価値を与えたかった。だからそれ以外の目的を排したオブジェという媒体で制作し、「用途無きものが与える価値」というものを確かめたかった。心のどこかで無意識に存在していた、「結局、用途あるもののみがが造形として価値をもつ」という自らの固定概念を崩したかったのかもしれない。

担当教員:小松 誠
これまでに数多くの仮面が作られているがヤキモノを素材にしたものは少ない、さらに器を作るのに最も適しているロクロを利用しているのはとても珍しく表現も含めてユニークです。 表情や色土によるマチュエールの試作が数多くなされておりその効果が作品に生かされています。 作品の題名はポール ゴーギャンが1898年にタヒチ島で制作した油絵の題名から引用されています。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji