無題
戸口 隆 空間演出デザイン学科
立体/鉄板、モーター/溶接/1900×1300×2300
鉄の塊が、冷たく、重く、ゆっくりと、音を立てながら動くことにより、何とも言えない感情を出しているような、何かを語りかけているような、その奥に見える少し哀しげな情景を、ある面影を思わせながら同じ動きを繰り返す。
担当教員:小竹 信節
キネティック・アートの鬼才Arthur Gansonの「Machine with Chair」は、椅子のそばを通りかかる機械がさりげなく、しかし高らかに椅子を持ち上げ中空で一回転させ、そっと元の位置に誇らかに、そして静かに着地させ、一編のきらめく詩のように去って行く。
戸口の作品は、描き切れない円弧のような鉄の車輪がゆっくりときしみながらも、描き切れなかった円弧の重い夢想の前でやがて引き返してしまう。いつの日か回ってみせたいと綿々と綴る感傷の叙事詩のようだ。