武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

SECRET BASE

飯田 啓輔 建築学科

立体/木材/900×5000×8760(卒業制作展時は実物制作) 

僕達現代人は、結局、自然と共生する事を、自然という大きな森に入り込むのではなく、外から見て、手を加えない事だと思っている。事実、僕達は自らの作り出した人工物の世界に、都合のいい自然物だけを受け入れている。僕は、外観において、あえて自然物の中に、暴力的に、景観を破壊するように人工物を挿入する事で、この場の自然に対して一歩踏み込んで関わるとともに、内観において、外からは見えない普段多くの木々として遠くから見る木一本一本を見せる事で、自然という森を構成する木その一本一本と向き合う大切さと、その木の全てを見せない触れさせない事で、自然という森の良い面しか見ず、一歩引いた形でしか関わっていない僕達現代人と自然との関係を表現した。

担当教員:土屋 公雄
飯田啓輔の作品「SECRET BASE」は、建築空間をアートとして体感するインスタレーションである。今回彼は七号館と八号館間の緑地を使い、その木々の中にあえて人工物を介入させ、「場」に踏み込むかたちで自然をより手元に引き込んだ作品を制作した。トライアングルに構成された空間内には三本の樹が巻き込まれ、それぞれの木は、その一部しか見ることが出来ない。当然鑑賞者の我々は、切り取られた部分ディテールから全体の樹木を想像するのだが、この関係性は、現代我々人間と自然の関係とも言えるのではないだろうか。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji