島人・病人・旅人
任 宥騰 建築学科
プレゼンテーション/模型、図面
愛知県の三河湾にある篠島は時代に弄ばれたように全島の約八分の一の土地が放置されたまま。そこを旅することで癒しを求める人や病のせいで癒しを求める人のための場所に考案した。島の過去と未来と繋ぎ、医療の力を借り、特徴の社会構造を現代的に読替え、子供ホスピスを含む地域再生を計画した。そこに滞在する人は、実際に診療・看護を受けられるのに加え、自然環境、そして生き生きとした島の人々の活気にも癒されるのではないかと考えている。
担当教員:高橋 晶子
名古屋からほど近い島に計画された、病を持つ子供と看護する家族が短期滞在するホスピス。区切られた敷地のなかで完結した終末医療施設ではなく、島の日常のなかに子供や家族がとけ込んでいくことが構想され、住民と訪問者がふれあう場がつくられた。
島は高度成長期の埋立、バブル期のゴルフ場開発を経て、現在は開発された土地が打ち捨てられている。片方に島の再生があり、もう片方にホスピタリティをベースとしたプログラムの提案がある。建築はランドスケープと一体的にデザインされ、おだやかに人々の行為を包容する。丁寧な調査のうえに提示された計画は説得力があり、これからどんなものを作っていくのかという問いにしっかり向き合っている。