照応
3寄の往還「定着まで」 3寄の往還「定着より」 果てることなく漂え
太田 いくえ 映像学科
彫刻、映像、文章(卒業制作展時)
彫刻だけで成り立ち、映像だけでも成立する。文章は予め作られていた。扱う次元の異なる表現を符合させることで、手法を越えた状態が生まれる。 彫刻・映像を合わせた作品であるためか、無機と有機の間を止め処なくたゆたう。理性的な作品に感情的な文章が当てられることで、振り切れない存在が新たに揺らぐ。
担当教員:板屋 緑
太田いくえの作品の特徴は、映像にとってのスクリーンを単に与えられたものとしてではなく、映像のために積極的に造形する対象として扱っていることである。この木製のスクリーンは深い溝や細い線が彫られた一種のレリーフのようであるが、一旦、映像がそこに投影されると、映像とその溝や線が反応したり、映像の黒と実体の影が干渉して、この固有のスクリーンが映像を密着させる<支持体>のように機能する。このスクリーンによる固定性と映像そのものの流動性がぶつかり合って、そこには、像と・・ものの中間の様態が立ち現れる。映像の・・もの化へ向かう優れた試みである。