面と向かって
横田 雄一朗 映像学科
写真/インクジェットプリント/6/各2500×2000
ある一人の人物の顔を、縦横7×7枚のタイル状に撮影し、後に撮影したその49枚をPhotoshopの自動合成機能で一枚の画像としてつなぎ合わせる。そこには、49の瞬間が存在し身体の微弱な動きにより自動合成の際、微妙なズレが発生する。それと同時に、本来の人間自身の顔は左右対称ではあるが、こちらも微妙に歪みがある。パソコン上の合成編集で生まれるズレとその人物が本来持つ顔の歪みが同一画面上に混在する。 鑑賞者には、その人物の顔がパソコン編集上でのズレなのかその人物本来がもつ歪みなのかを面と向かってじっくりと凝視してもらいたい。
担当教員:小林 のりお
49枚の画像を繋ぎ合わせて制作したデジタル・タイリングによる高解像度の巨大なポートレート作品は、撮影時に生じる時間的なズレ、合成時に生じる空間的なズレを意識的に残すことによって、奇形的な生物としての人間に批評を与えている。それらは、電子の流れによって形成される次世代の写真を予感させ、写真の終焉と始まりを同時に見せてくれている。