「協働によって生まれる作品」について
―鑑賞者としての身体―
當眞 未季 芸術文化学科
論文
見知らぬ人々との間に作り上げられる共同体とコミュニケーション、行われる「協働」。それは現在多くの美術作品に取り入れられ、社会的な文脈の中で肯定されています。しかしそこには、見過ごしてはならない些細な違和感が存在します。 本論文では、リレーショナル・アートの流れに触れながら、日本の現代美術における他者との交流を重視する作品を「協働によって生まれる作品」と仮称し、小沢剛、淺井裕介、加藤翼の作品について考察しています。 他者との本当のコミュニケーションとはいったい何なのか。「美術作品」が「美しい物語」として安易に肯定されてきた「協働」を扱う意義を、今一度考え直すことが必要なのではないでしょうか。
担当教員:児島 学敏
「人間相互の関係性の美学」ニコラ・ブリオー(Nicolas Bourriaud,1965-)が語ったリレーショナル・アートの出発点をミニマル・アートにおける身体性の重視に定め、多くの「鑑賞者」が参加することによって生み出されるリレーショナル・アートの流れに触れながら、小沢剛、淺井裕介、加藤翼の作品を「協働によって生まれる作品」と仮称し、美術作品として肯定されてきた「協働」の意義を今一度検証し「美術作品とは何か」を問うた論文である。