武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

かぐわ詩

橋 杏朱 芸術文化学科

インスタレーション/ドライアイス、木、アクリル、プロジェクター

実態のない匂いはなぜ人の心を揺さぶるのか、なぜ思い出を鮮明に呼び覚ますのか。記憶だけでは思い出せない様々な情報を付随し、時を越え、過去に経験したリアルな感情を再生する。  この作品は生活を取り巻く匂いや匂いから想起される記憶、感情が我々を文化的豊かさに導くという考えのもとに制作した。匂いを想像させる詩と、匂いのイメージに共通して抱かれる気体的表現を利用することでコンセプトを体感してもらう。感覚は言葉の中で成立する事から文字の中の匂い「詩」を通して日常の中に広がる匂いの多様性を意識する事で文化的豊かさを見い出すきっかけとしたい。

担当教授:楫 義明
時として、視覚や聴覚以上に強く意識されるのが「匂い」の記憶。記憶の上での再現性は、何故か時間の経過と共に色あせることがない。その体験を、文化として定着している諸事、特に「詩」に 登場する匂いとアート表現との関わりとして調べ、論文に相当するような内容で一冊の研究ノートにまとめている。これが、すこぶる良い。また、その匂いと文章との関係性を視覚表現しようという試みは、瞬間に消えて霧散する匂いの儚さと空気感を表していて、秀逸である。

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