群生して存る
小山 裕紀子 日本画コース
平面/雪肌麻紙、鉛筆、銀箔、硫黄、水干絵の具/2200×4800
小さな分子が集合して一つの物質が形作られているのと同じように、 キノコの世界も一本一本の菌糸が集まって一つの世界が形成されている。 描いていくうちにどんどん乾燥し、まるで歳をとっていくかのごとく うねりながら形を変化させていく菌糸の世界は、 胞子から生まれ、やがて一つの菌床を作り共同体として群生する。 その中でのお互いの関係は密であり、 それぞれの個性は主張され関連し合い増殖していく。 そこには普遍的なありのままの姿としての実相が存在していた。
担当教員:尾長 良範
小山は菌が広がることで生まれては消え去るキノコに自然の造形を感じて描いたという。
大画面に鉛筆と金属箔などを用いモノクロームで描かれた画面上をみると、ひとつのかたちが別のかたちへと展開して生まれてきた予定調和的には造ることができないかたちと空間があり、増殖するものの魅力が現れている。
そこにはイメージの再現をこえて存在する手の痕跡があり、図像の面白さを超えた絵画の魅力がある。