武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

ソーシャルルーツ(左)

日比谷 泰一郎 日本画コース



新宿を行き交う人々のドローイングを繰り返す中で、毎日実際に出会う人は違うが、先急ぐサラリーマンや連れ立って歩く女子高生など、同じような日常のサイクルの中に生きているのではないかと考えた。震災を受け、作り手として何が出来るのかと考えていたので、このような新宿の何ら変わりのない日常に疑問を覚えていたが、そこには行き交う人それぞれの日常を守り、繰り返すことで生まれるその人なりの生命感があるのではないか、と考えるようになった。自身のフィルタを通し描いたドローイングを作品化することによって、変わりのない新宿の、その日その日の生命感を抽出した。

担当教員:内田 あぐり
作者は新宿の雑踏を行き交う人々を観察しながらドローイングを繰り返し、そこから抽出したフォルムと色彩で、大画面に構成し作品化している。自由奔放な筆触で描かれた女子高生やサラリーマンなどの人間像は、どこか不思議な形をしながらカラフルに棲息し、絵画は原色の街と化している。作者の瑞々しい感性が現代を生きる人間像をヴィヴィッドに捉え、作品は生命力に満ち溢れている。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji