武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

あばかれた人間たち
解剖

王 菲 油絵コース

【あばかれた人間たち】平面/カンヴァス、油絵具/1620×3240
【解剖】平面/カンヴァス、油絵具/1620×1620

作品1『あばかれた人間たち』
人間―生命を持つ、感情を持つ(喜怒哀楽、自尊心など)、自由を持つ… 物―生命がない、感情がない、自由性がない、公衆的な鑑賞性を持つ、何か目的のため、人に左右されるものとして存在している… 人間が何も知らないうちに、公共のものや鑑賞される物(例えば、古美研の仏像や公園の植物など)と同じように調べられたり、個人的に私的な面に至るまで、暴かれたりするようになる。そのような人間はある面では、「人間」と言うけれども、実際に人間ではなく、生命がない、物の特質に同化させられて、自体に移すようになってしまうと、私は思う。それでは、「人間=物」と言っても、言い過ぎではないだろうか。世の中、多く人は、何のため自尊心や自主性を失い、物と同じ様な形態として、どうしようもなく、時間と空間性を考えずに存在しているだろう。

作品2『解剖』
?人を分析しようとするために解剖するのに、目を閉じて、人を解剖する行為を行ってしまう。目的を達成することができるだろうか?皮肉だろう。
?物を研究しようとするのに、対象の性質が分からずに、原点を調べずに行動するなら、目的を達成することができるだろうか?皮肉だろう。

担当教員:水上 泰財
一見、何が描かれているのかさえ、判読できない画面である。暗く抑制された色調の中に裸の群像が浮かびあがり、さらによく観ると、手や足、頭さえ欠けていたりする。しかし、そのフォルムはなぜかバランスがとれていて美しく、左右に長い空間を辿ると、迷路の一部に入り込んだような錯覚を覚える。人間の内奥に潜む、不安定で欠損した内面を覗き込んでいるようだ。見えない内側をどのようにみさせるかを問い直した作品でもあり、絵の力と可能性を感じさせる秀作だと思う。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji