武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

He, She, It
He, She, It

衣川 明子 油絵コース

平面/カンヴァス、油絵具/2273×1818
平面/カンヴァス、油絵具/1620×1303

これは何かを象徴する誰かのポートレイトではない。絵の前に立って、見て、見られればいい。その時に人が理解したい欲望のために名前をつけて区別してきたものが一瞬でも曖昧になったらそれでいい。 全ての群で暮らす動物は相手の痛みや感情を、反射的に自分と置き換えて想像し共感するという能力を発達させ、共食いによる群の全滅をふせいできた。人はずば抜けてその能力が高い。だからただの絵にすら反射的に共感してしまう。そこは区別や決定に的さない領域だ。

担当教員:丸山 直文
キャンバスに黒い絵の具で擦りつけるように描かれた人や犬、猫のポートレイトは、頼りなげに暗いキャンバスの中から浮かび上がり、また後退する。そこには強靭な絶対的な他者としての存在感は無く、我々が誰しも持っている迷いや苦しみ、弱さといったネガティブな痛みに寄り添い、包み込むような大らかさが感じられる。彼らは見知った隣人なのか?いやそうではないであろう。遠くて近い近くて遠い、そんなアンビバレントな場所に佇みながら衣川の描くポートレイト達はこちら側を見つめている。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji