武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

The sourse of Pleasure
記憶の穴場

松尾 勘太 油絵コース

【The sourse of Pleasure】平面/カンヴァス、油絵具/1818×2273
【記憶の穴場】平面/カンヴァス、油絵具/1620×1940

怖いけれども笑えるような。生々しいけれども非現実的な。相反することが同時に存在すると、そこには一種の「心地のよい混乱」が生じる。それはいつまでも解けない謎のように僕を強く惹きつける。様々なイメージを混ぜ合わせ、絵具やキャンバスの力を借りて、「心地のよい混乱」を画面の上に作り出したい。優しくて、理不尽なエネルギーに満ちたものを。温かくて、危ういものを。まるで、いのちのような。

担当教員:赤塚 祐二
生物学の研究のためにつくられた左右対称の模型のようなものが、暗い空間に多様な変化を見せながら立っている。松尾君の作品群は、偶然性がもたらす絵画の曖昧な掴み難い領域と、そこを基点にして新しい世界観を掴もうと試みた異世界を我々に見せてくれる。どこかキリコのような舞台美術的空間意識と、現代の作り手として生み出された筆触や素材感や形態の組み合わせが新鮮で魅力がある。これらの不思議な形態の増殖する様は、地球を取り巻く環境に対する現代の不安を示しているかのようで興味深い。現代絵画の可能性を示した。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji