無題
石橋 慧祐 彫刻コース
立体/石彫/500×500×1500
土を剥ぐ
錆を蓄えて眠る歪な巨躯
あるがままの原石
原石がそう成る必然を察することと
まわりをうねる人の業
肉に沈む鋭い刃は要らなかった!
小指の先っちょのRで呼びかけ続ける
石と人が5:5の関係を手繰り寄せる
石を石にかえす
担当教員:黒川 弘毅
これは、物質の中から出現するものの偶然性を必然に変換する人間の能力と、手仕事を通じて視覚に現れてくる事柄の神秘を、苦悩と喜びに満ちて提示している。そこには、無際限なものへの無媒介性を源泉とする“かたち”の生成、他を顧みることなく自らと一致せずにはおかぬ造形の力が働いている。〈現前する以前のもの〉は呼びかけられて自分自身を見ることを望み、自らを作らせることで作者を対等なものとして隷属させる。視るものは、見えるものとなったものに見えないものとの関係を計量し、個々に実現されたものに、世界の変貌の端緒である“かたち”の産出―〈現前する以前のもの〉への還帰がどれほどまでに成就されたかを秤量するのだ。 宇宙の廃棄、あるいは奇跡。