北脇昇の1940年代の絵画における
「図画」・「図式」・「影像」概念の検証
竹内 那美 芸術文化政策コース
論文
画家・北脇昇の絵画を「図画」・「図式」・「影像」の概念から読み解く。それらは、見えない社会の構造を可視化することを目的に描かれ、戦争が泥沼化した1940年代という不穏の時代に、北脇が社会と向き合わざるを得なかった状況を思わせる。揺らぐ社会の状況に対して、絵画ないしは美術が果たす役割とは何だろうか。北脇の絵画は、今を生きる私たちにとっても、不安定な社会と向き合うためのひとつの示唆を与えくれることだろう。
担当教員:高島 直之
シュルレアリスムの画家として知られる北脇昇(1901~1951)が描いた1940年代の図式的絵画に焦点を当てた研究論文。優秀賞を得た学部卒論のテーマを継ぐものであり、1930年代後半にせりあがった「具象と抽象」、「シュルレアリスムと抽象画」という、同時代美術のアポリアと向き合った画家の真摯な営為とその軌跡を浮き彫りにする。とりわけ戦時体制に入ってから京都学派の考えをどのように飲み込んでいったかの部分は刺激的である。