日本の“物売り”から伝達手法の普遍性を探る
山崎 南海子 視覚伝達デザインコース
論文
電信技術が導入される前の、江戸~明治時代に栄えていた“物売り”から、 フェィス・トゥ・フェィスによる“ものの売り方・伝え方”を考察します。 その考察から当時の人々の生活や“ものの売り方・伝え方”の工夫を導きだし、 今後の“ものの売り方・伝え方”に も通じ、変わることのない伝達手法を探ります。
担当教員:新島 実
日本の「物売り」の、五感を駆使して五感に訴える販売手法に注目した研究である。400を超えるという「物売り」の販売手法を丁寧に読み解きながら現代の販売手法との比較を行っている。山崎さんは、現代の分散型ネットワークの有り様の中で、発信源が定まらないが故の不安に対して、消費行動が求めているのは発信源に対する「安心感」だと言い、日本の「物売り」の顔の見える販売手法は結果的にこの「安心感」を引き出していると結論づけている。物の売り買いという日常的な行動から日本人の伝達手法に対する在り方を分かりやすく考察した優れた研究である。