武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

風景の中の跡地

落合 洋介 建築コース

プレゼンテーション/模型、図面

跡地は単体として風景の中に存在するのではなく、周辺環境やそこの住民によって定義付けられ、風景の要素のひとつとなる。
跡地が装いを新たにするのではなく、それ自体として風景に溶け込んでいくことで、跡地は風景の中に存在を示す。 ここは住宅街に位置するどこにでもありそうな工場の跡地。 そこをグリコ工場であった記憶を具現化するために、既存の構造体を活用し、企業理念から由来する食育を通して『地域の記憶を紡ぎだす、開封した工場』とする計画。

担当教員:長谷川 浩己
対象エリアは住宅と中小の工場群が混在し、年々工場移転が進んでいる。利便性から一旦更地にしてマンションなどが建設される傾向にあるが、この作品はエリアが持つアイデンティティを失うことなく、閉じていた場所を新たな地域の拠点として開くことの可能性を探っている。かつての食品工場のボリュームをスケルトンのフレームとして記憶させ、そこに新たなプログラムに基づいたデザインを展開させた。いわば「遊びの工場」への変換であり、この試みは時代と共に都市の風景がどのように変容していくかに対しての、一つの問いとなっていることを評価したい。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji