武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

カベノキオク

廣瀬 理子 建築コース

プレゼンテーション/模型、図面

昔、家は隣同士が同じ壁を共有して建っていた。 時代が進むにつれて、何らかの事情で隣の家はなくなってしまった。 家のあった場所は、駐車場や空き地になる。 2つの家が共有していた壁には、家の跡だけが残されている。 街には、家があったことを知っている人はもういない。 かつて共有していた壁だけが、隣に家があったことを記憶し続けている。 隣家のたった一枚の壁に残された、かつて存在した家の記憶を手掛かりに、3つの住宅を設計した。壁の素材感であったり、昔あった建物の形であったり、壁によって様々な表情を見せる。同じ物は存在しない。それぞれの壁がもつ記憶を読み取り、その場所だからこそ成立する家を考えた。

担当教員:布施 茂
名古屋の長者町繊維街に点在する町家跡の空地に着目し、その場所の記憶を手掛かりに住宅を設計した作品。壁の素材感、昔あった建物の形、過去の痕跡を残した壁がもつ記憶を読み取り、その場所だからこそ成立する家を思考している。計画は、具体的な敷地を選び、その場所に残された記憶をもとにストーリーを構想して設計された3つの住宅は、それぞれのリアリティの中にもポエティックな雰囲気のある作品である。

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji