図式から空間へ
-Le-thoronetの修道院の光と影について-
峯村 祐貴 建築コース
プレゼンテーション/模型、ボード
少し前から現代建築はいわゆる図式建築の時代である。”図式”は建築にある明快さを与える。まあここでは図式建築の良し悪しはさておき、意匠設計を少しでも前進させるために、次の時代について考えようと思う。そこで、800 年以上前にできた南フランスの田舎にある修道院にヒントを求めた。その修道院はロマネスクの建築であるにもかかわらず装飾が殆ど無い。そこにあるのは簡素な素材と美しい光だけである。その簡素であるのに、複雑さを併せ持つ空間に魅力を感じた。この修士設計はこの”空間”を引用、再構成し設計を行なっていこうというものである
担当教員:菊地 宏
ル・トロネの空間の分析に始まり、CGによる光のシミュレーションを様々な視点から行った興味深い研究ののち、そこで気づく、空間の光の振る舞いを抽出することによって修士設計への発展させている。また実際ル・トロネへの訪問などを通じて、実体験として空間を把握、分析する態度には共感を覚える。修士設計では、既存の建物を拡張する形で光空間が提示されていたが、そこで見られた光空間の操作は、ル・トロネの分析で培った空間の特定の面に対しての光の照射など、実践的かつ実験に満ちた空間構成となっている。