武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

展覧会について

dilemma

佐藤 七菜子 映像コース

映像/プロジェクター、スクリーン/3min

体というモノについて。 私たちは自身の体を所有物として扱いますが、その肉体はいずれ私たちの意思から離れ、自然に還っていく「モノ」です。 dilemmaなんて感じる前に私たちはただ生きていくほかないのですが、体を守りながら生き、失っていく人達を想いながら、日常でふいに感じた心と体の距離感を形にしました。 おそらく十年後には、これとはまた違う感覚でそのことに向き合っているのでしょう。

担当教員:黒坂 圭太
佐藤は手描きドローイングにスポンジのテクスチュアを貼り込む独自の手法を駆使し、現代人に共通する“ジレンマ”を浮き彫りにしたいと企てた。しかし制作は困難を極め、締切り迫るも具体的ビジョンが掴めないまま、ついに彼女自身ジレンマに陥ってしまったのだ。そのとき奇跡は起こった。作者のプライベートな焦燥がパブリックな題材に説得力を与え、生命感あふれる重層的イマジネーションが現出したのである。絶望から生まれた創造に乾杯したい!

Photo: Akitaba Hamasaki, Tomokazu Nakamura, Yasuo Saji