平面
カンヴァス、油絵具
1000×803
僕は、絵を描くとは、かたちをつくることなのではないかと思います。絵の中に世界が広がっているのを見て、そこに足を踏み入れ、自由を得るとき、喜びを感じます。
担当教員:丸山 直文
絵画の中で最も長い歴史を持つと言われる人物画というジャンルは、一見オーソドックスで古い印象を与えるかも知れない。しかし一部の専門家だけでその評価の有り様を決めてしまいがちな絵画の自閉性から、絵画を外部の世界へと開き、その可能性を示すのには極めて現代的な方法でもある。その事を古賀はよく熟知し制作しているのであろう。
彼は普通でありながら何処か奇妙で滑稽な人達を描く。例えば奇妙な姿で歌っている女性や、微妙に似合わない椅子に座る女性などである。それらは空気で膨らんだ風船のようでもあり、その肌合いは塩化ビニールで出来た人形のようでもある。彼は人間の表層を描こうとはしていない。現在の人々を通して見えてくる時代や社会の気配をキャンバスへと移し、描いているのである。