平面
段ボール、油絵具
2350×3950
大切なのは自身の意義や価値ではなく、
いまをどれだけ全力で生きているかだと思います。
担当教員:水上 泰財
作品はダンボールを支持体に、それを貼りあわされたり剥がされたりしながら、何とか四角い絵の様相を呈している。描画材もオイルパステルだけで、太い線が重ねられ、荒々しく塗り込められている。作者がなぜこのような材料に惹かれるのかは分からないが、そのチープで乱暴な表現が物質としての異様な存在感を生み出しているのは確かである。
それにしてもこの夜の静寂(しじま)に立ち尽くす、漫画に出てくるような不良少女は何に立ち向かっているのだろう。それは時に慰撫し、時に逆撫で した少女を取り巻く人間たち、もしくは人々の腫れ物に触るような視線だろうか。いずれにせよそれらは段ボールで貼りあわされた塀となって、やがては増殖した一枚の大きな壁となっていったのではないかと思われる。
そんな遮断した過去の記憶の集合物が、魅力と嫌悪の両方を含んだ生々しい表現として成り立っている。