武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

気づき

中田 麻衣子 油絵学科[版画専攻]

平面
和紙、水性木版
1830×1830、915×1212、1212×915、1830×915、600×455

風によって輝いている木漏れ日に
私はよく目を奪われてしまう。
そのきれいな情景に感動し、
まるで時が止まったかのような錯覚に陥る。
感情は「今」ではない「どこか」に行き、
多くのことを見落としていることに気づく。
それは大きな生命体に包み込まれている心地よさと
自分の存在が消される一種の恐怖からもたらされる。
私はそれらの感情やそこに流れる空気を表現し、共有したい。

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担当教員:遠藤 竜太
木漏れ日の光と陰が織りなす情景は、幾重にも版が摺られるたびに、彫りの痕跡と紙の物質感を増しながら、魅力的な表情をもつ画面となっていく。 中田は、そうして出来上がった木版画を白い壁に配置することにより、それぞれがパズルのピースのように呼応し、紙から壁に緊張感が波及してイメージを拡張するような、雄大な作品を生み出すことに成功した。 この作品の前に立つと、私は圧倒的自然を目にしたときに抱く畏怖の念にも似た聖性を感じる。