武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

resonate

市川 ひとみ・岸田 真智子 空間演出デザイン学科

ファッションパフォーマンス
布、鏡、他
2500×5550×4200

かつて、時代が大きくシフトする瞬間を生きていた人々は
未来を追い求める力強いパワーやエネルギーを持っていた。

その時代の感覚や生き様に感化され
現代のものに溢れ、選択の自由を与えられた私たちの時代の向かう先を見出し、生きていく。

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担当教員:パトリック・ライアン
現代のファッションは、社会における性、ヒエラルキーそれらドグマの犠牲者である。ターゲットを合わせアグレッシブな時間軸で次々と新しい物を考案し、ビジネスの支配の中で、贅沢をちりばめたもので客を釣り上げようとすることのほうに忙しい。21世紀のファッションは、このまま成功したビジネスの犠牲者となり、本来の美しさを表現するための伝達手段であることは置き去りにしてしまうのか?
市川と岸田のコラボレーションにその疑問の答えがあったように思う。ボリューム、クオリティー、色、本来コンテンポラリーファッションにあるべきものだと思えた。緻密で骨の折れる作業は仕上げるためではなく、作業そのものを愛する姿勢による。作品はマーケティングギミックにディテールを足していったものではなく、必要なボリューム、色、必要とされる重力、透明感、反射、不可欠なものに限られている。表現の浪費を上手く避けた質素なスタンスは、美しい。この10年という間の贅沢を類似したファッションとは遠く離れた本質的現代の表現がそこにはあった。アヴァンギャルドではない。シニカルでもない。成熟したものだ。それらは努力と自信によるものだった。