武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

にじみマス

伊藤 健太郎 建築学科

プレゼンテーション
スチレンボード、スノーマット、段ボール、他
2500×2500×1940(設置範囲)

京王線府中駅から1.5キロに位置する米軍基地廃墟。現状では周囲をフェンスで囲い、敷地内に人は入ることができない。周辺に多くのパブリックスペースがあるここが開放され、人が楽しく行き来できるようになれば街の活性にもつながると考えた。しかし、この廃墟がこの街に与えていた影響は少なくない。人と関わることのなかった空間をいかにして今の町になじませるか考えた。用途は周辺の教育施設と提携する歴史資料館(賃貸アトリエ、BBQ場、東屋、貸し箱庭など)を設けた。また、元の土地を点在させ、それまでの木々や、廃墟を残している。
形を造るにあたり、屋根型に包まれた空間は内部の人たちに一体感を与え、コミュニケーションを生むきっかけをつくると考え、屋根型で通りをはさむことで、双方の空間「マス」は通る人たちによって関わりを持ち、それがマスの四方で起こり周囲ににじむように広がる。1800ごとの層の集まりでできた緩やかな山なりはほどよい視界の変化を与えている。ほとんどもとの木々を残しているため、周りの公園の本々や山の量色に溶け込む外観である。 その後、時代に応じてそのマスに必要な機能、住居をはめていくことで町の風景、環境に与える変化を最小限に抑え、徐々ににじんでいき町をつくっていく。

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担当教員:源愛 日児
現在、地域にはNPO、高齢者サークル、サードプレイス指向など地域に暮らす人たちの自主的集まり、活動の高まりが見られる。これらは、地域に分散して、それぞれの拠点をもち活動が行われているが、伊藤君は、これらの活動が刺激し合い、様々な連携の生まれる、先例のない都市的場を提案した。すなわち、地域の自発的、流動的、創造的な活動の場づくりとして、インフラとなる多層のグリッド街路と、組み立て分解のできる架構を提案した。タイトル「にじみマス」には、この都市的場と地域の関わりに対する思いが籠められている。自身の地元である敷地の歴史遺産を残しつつ、時間軸のある計画としたことも意義深い。