立体
ビニール、紙、ボンド、他
100×100×100、他
乾いたボンドをぺりぺりと剥がすと、それは半透明のまま形を保つ不思議なオブジェになった。
紙に針でプスリと穴をあけた。明るい方にかざすとそこから光が漏れた。
「現象の工作」は、わたしが日常で見つけた現象を展示するという試みです。子供のように観察し、感じたままに形にすることで生まれた小さな風景の魅力がそこにはあります。工作でしか表現できない面白さを伝えたいという気持ちがあります。
担当教員:深澤 直人
「現象の工作」は、まるで子供が家族とテレビを見ながらその辺にあるもので何かをつくっているような感覚がある。しかし岡田美奈子は子供ではない。しかし、作家としての工作への着手はまるで子供のように早く、着想に迷いや疑いを持たず、ただ自分が感じたことをそのままかたちにしている。使う材料がボンドやペットボトルを切り刻んだもの、ゴム手袋に絵の具を使ったものなど日用品がベースになっている。岡田は毎回レビューの度に新しい作品を持ってきた。担当教員としては毎回「これは何?」と尋ねないとわからないものだらけだったが、「これはボンドをチューブから出してつくったエッフェル塔」だとか「切り刻んだペットボトルが魚の群れのキラキラのようだと思った」とかいう、「え~~~?」というような答えに素直に驚いた。確かにそう見えるし、そのように作りたかったという着想に濁りがなかった。エッフェル塔に関しては、建ち上がったボンド製の塔がゆっくり垂れ下がっていく様が面白いのだというのだ。ゴムのシートに塗った絵の具が引っ張ることで細かくひび割れる様には驚いた。
何を感じ何を作りたいのかは謎であるが、その思考や発想の謎がアートの源泉になっていることに間違いない。