平面、レリーフ
紙、木材
2400×1480
石と石、余白との間に張りつめた空気が満ちている。桂離宮の庭の幾重にも連なる景色の層の中から琴線を震わせる皮膜を掬いとり、真白な空間に構築する。紙に色を重ねながら石を作ることは石の年輪を刻むようだった。石は時間を内包している。制作する中で桂離宮というテクストを通じ自然を模写していることに気がついた。桂の持つ「空間」と、石が経験した「時間」。これらの「時空」に敬意を払い、自らの身体により写しとることで未だ対峙したことのない「間」に出会えた。
事物に宿る生命に寄り添い昇華していく模写という手法だからこそ「石」たちの清らかな呼吸を聴くことができたのだろう。
担当教員:板東 孝明
紙の上に何度も色を置き、祈るように制作してきた幾百の「石」。本物に見まごう飛び石は実際に触れるまで紙であるとは思えない出来映えだ。桂離宮に通い、実際に自分が踏みしめた飛び石を一つ一つ丹念に描写するその姿勢はすさまじい。表題の「石を組む」は「文字を組む」からの発想、白い平面に構成されたレリーフ作品を「タイポグラフィ」だと作者はいう。たしかに文字が存在しないからこそ、寡黙な「石」たちの「作庭された意図」の饒舌な気配が横溢としている。