武蔵野美術大学 造形学部卒業制作 大学院修了制作 優秀作品展

移動式マクベス

大西 亜実・蔵中 智子 映像学科

演劇
木材、布、他
2200×2500×1950
40min

演劇は面白い、そう信じて4年間この表現媒体と関わってきました。
けれど観劇という行為に、ドラマや映画を観る事とは異なった独特の敷居の高さが存在しているのを感じます。
共同制作者である空間演出デザイン学科の蔵中と共に、この問題に対する私達なりの正解を形にしました。
劇場に足を運ばなくても、舞台に興味が無い人でも、一時足を止めて演劇の面白さに触れてくれますように。

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担当教員:篠原 規行
綺麗は汚い 汚いは綺麗 さあ飛んで行こう 霧の中。このマクベスもフォーマルな劇場舞台と同様に始まる。
自らが実感している演劇の魅力とシェークスピアの魅力をもっと多くの人に伝えたいと、劇場が屋台となって移動し観客側へ出向くという形式を採用した。演出・美術をはじめ作品を構築する全ての表現において、極めて自由度のない空間制約があったからこそ生まれた総合作品であり、制作に関わったすべての人を賞賛する。
この作品には積極的な映像的解釈と意識が認められる。近距離での鑑賞はクローズアップを可能にし、小道具による早変わりはカットの効果を示してシーンを構築する。移動によって変わる背景も同様に映像的解釈ができ、それが大西作品の独自性だと高く評価された。
本来のマクベスを失うことなく楽しく伝えたいという思いは、マルカムのカジュアルな人物表現に集約されている。マルカムを現代の若者に仕立て、瞬時に“時”を超えて「マクベス」を身近にしている。このマクベス、実は400年の“時”を移動しているのである。