平面
パネル、綿布、和紙、油絵具、テンペラ、エマルジョン
3240×3909
秋芳洞という鍾乳洞があります。入口に立つと、「あぁ、喰われる」と恐ろしくなります。呑まれて見ると、ずっと昔の様々なものが蕩けて、固まっています。何か小さなものたちによって、何かひとつのものがつくられています。そして、そのものも何かのひとつとして、何かを生かしているのです。
担当教員:遠藤 彰子
根源的な生命体が蠢き、拡散していくかのようなイメージは、心の奥底から導き出された宇宙空間の投影図のようである。作品から、外界としての大宇宙と内なる小宇宙が融合し、個体から集団的・集合的な意識が立ち現れたかのようなインパクトが感じられた。彼女はこれまで、「生命観」をテーマに、具体的でありながら幻想性を持ち、また、現実をも透視しているような、独自の世界観を創り上げてきた。相対的にダイナミックな印象を受けるが、隅々まで繊細な神経でつながれており、離れても、近づいても絵画としての魅力を感じることが出来る。大宇宙から見れば、砂粒のように小さく、閃光にも満たない生命であっても、それぞれに宇宙が織り込まれている…。そんなことを感じさせる大作である。