平面
パネル、油絵具、エマルジョン
2910×1810
今回の修了作品を制作するにあたり、夏に地元である北海道の森林でスケッチや写真による取材を行った。その取材の中で古い樹木や倒木に触れ、草花が繁茂する空間を感じるうちに、古いものを礎として新しい生命が芽吹き、脈々と受け継がれて輪廻を紡ぐというイメージが生まれた。それを基にし、また実際に自分の肌で感じた森の雰囲気や空気感を大切にしながら、一枚の絵画を仕上げようと思い制作した。そして今回の作品のイメージに近い言葉を探した結果、タイトルとして相応しいと感じ、揺りかごの意味である「揺籃」と付けた。
担当教員:斎藤 國靖
油絵具の二つの特性である可塑性と透明性を重層的に構築した柴田君の作品は、西洋古典絵画のメチエを現代に応用したものである。さらに、画面にながれる光と闇のドラマはカラヴァジョからレンブラントにつながる表現を継承している。
このように、古典絵画を研究し、そのエッセンスを吸収しながら展開している柴田君の世界は、まさに現代における表現でありながら、ゆったりとした揺籃のなかで、永に歳月をかけてブレンドされたような深い味わいがある。