武蔵野美術大学　造形学部卒業制作 大学院修了制作　優秀作品展

担当教員：赤塚 祐二
彼女の作品制作の視線は日常のさりげないところへ向かう。それは台所の道具だったり鉛筆やクレヨンだったり小さな昆虫だったりするのだが、工事現場の赤いカラーコーンもそのひとつである。古くなって役目を終えたコーンが粉々になって街角に散らばっていたのを、まるで古代人の遺骨でも集めるようにひとつひとつ拾い集めてきたのだという。そしてプラスティックのように固まるカラー粘土を素材に、そのかけらひとつひとつを模して作った。修了制作では発掘した遺跡のようにそれらを机の上に並べていた。鑑賞者に作品と実物との類似性あるいは非類似性についての発見を促し、さりげない現実の意味を突きつけるのが彼女のやり方だ。