立体
御影石
130×1200×1200
一滴ずつ鉄を溶かしていく。それを繋ぐ。一つの行為を繰り返しながら、形を作っていく。「何」を作るのではなく形同士が連鎖しながら、時間や形の意味を蓄積させて「何か」が出来ていく。行為とその{「何か」の必然性}は完全にリンクし、そこには「何か」の奥に蓄積した、見えるはずのない「何か」が現れる。「何」のための行為ではなく、行為による連鎖と蓄積による{必然的な「何か」}を作りたかった。
担当教員:伊藤 誠
これは一体何だろうか。例えば抽象彫刻としてみよう。しかしそんなカテゴリーはどこか居心地の悪いものに感じてしまうだろう。作者はこれまでに人や建物の一部などを、鉄を溶かして点描のようにつないでゆくという制作方法で作品をつくってきた。それは作者が触れることができる身の回りのものの形象化だ。しかし今回は対象を感じる立ち位置が全く異なる。この変化は作者の独特な制作方法の展開の結果だろうか。時として制作方法はものの見方をも変化させてしまう。対象を見つめるまなざしは内面へ向かい、内側から感じることを通してこの場に出現したもの。これは具象的な造形物ではない。しかし具体的(リアル)なものとして目の前に迫ってくるのだ。