立体
鉄
2300×2800×1200
肌をつたう水滴を一粒一粒粘土で形成することで、一瞬の出来事を永遠にしたかった。
担当教員:三沢 厚彦
水になりたかった女。山中のつくる女性像の髪は濡れ、体には水滴を纏い、目は静かに閉じられている。細部まで繊細な肌合いを持ち、彼女特有のリアリズムが定着されている。セラミックでつくられた女性像ではなく、そこには水に濡れた女が横たわっているのである。
水につかる事により、体の重力はほとんど消滅し、水と一体化することの快感を覚える。そして、ついつい長居をして、その快楽に身を任せてしまう。しかし、ひとたび水からあがると体の重さをより認識し、心地よい疲れを感じ眠りに入る。それは、さしずめ小さな死といったところであろう。なるほど、水になりたかった女は水と交わる事によって、より自身の身体性を意識する事になるのだ。